Artwork · 2023年10月20日

牧野貴 個展 コラージュとアンチコスモス

PA・Live performance

牧野貴 個展 コラージュとアンチコスモス
会場ANOMALYでの展示音響機材、イベントでのドラムの演奏・PAを担当。
サウンドデザインを担当したAnti-Cosmos、この音響は100Hz以下の重低音が必要なのでサブウーファーを設置。
ライブ当日はPA機材を追加した。

個展はANOMALYにて2023.10.7 – 11.4 の期間開催された。

牧野貴 コメント

今回展示する作品群は1部初期コラージュ作品集を除き殆どがコロナ禍 (2020年~ 2022年)に制作された。2018年に[Memento Stella]を制作する動機となったのは、もうこのように世界を旅しながら作品を制作し発表する事は出来なくなるかも知れないという未来に対する強い懸念と不安を感じていたからだった。はたしてそれは現実となり、これまでに経験したことの無いような閉鎖的で窮屈な世界を生きる事を突然強いられた。そのような状況の中、自分に出来た事はいつ誰に見せる事が出来るかもわからない作品をひたすら制作する事だった。それは完全に自分のアトリエ内でのみ行われ、数々の紙素材と自分がかつて撮影した膨大な量の映像素材と再度向き合い、夢想し、手を動かし続けるという、孤独で、まるで送る宛のない手紙を永遠に書き続ける作業のように感じた。
その結果は数多くの紙媒体のコラージュ作品と、二本の映像作品として結実した。

今回の展示のメインとなる[Anti-Cosmos]は井筒俊彦氏の著書「コスモスとアンチコスモス」からインスピレーションを受けて制作された。この著書は私がこれまでの芸術活動の中で探求してきたコスモスとカオス、そしてミクロコスモスとマクロコスモス、外的イメージと内的イメージの関係性等の考えに大きな示唆をもたらした。自分がこれまで極端なアブストラクト表現において実践してきた活動は、一貫して鑑賞者の想像力を刺激し増幅させる装置としての映画作品を制作し、世界中で発表する事だった。アンチコスモスとは既に存在しているコスモス (秩序、常識、 固定観念とあえて解釈する)を刺激し新たな世界への扉を開放しようとする行為そのものの事を指すが、自分の活動そのものがアンチコスモス的だと言える事に気付いた。これまでに使用したことの無いようないくつもの具体物が撮影された映像を、幾千も重ね合わせ合成し反響させ、世界共通の記憶のような光の渦を制作した。もう一本の映像作品[Microcosmos]は、数多くの紙媒体のコラージュ作品を使用した短編映画。限られた素材と自分の想像力だけで、どのような無意識化への予期せぬ旅が可能なのかを実践した。コラージュ制作による瞑想体験の中で得た夢の断片のような光景を静かに紡ぎ、星座のように配置した。

コラージュ展示

ライブパフォーマンス「Space Noise 3D」牧野貴 + 山﨑巌

PAとDrumsを持ち込み、2023年10月20日に開催された。

photo by Yasuhiro Kouyama

photo by Yasuhiro Kouyama